ヤブカラシに集まるものたち
通勤経路の植え込みであったり空地の草むらであったりするところに、ヤブカラシがはびこっている。刈っても刈っても生えてくるというのは、しつこいとも、逞しいとも言えるが、夏のあいだは小さな花をつけていて、よく見るとそれなりに可憐な感じでもある。
やぶからし小花摘みつつ遊びいし少女のわれなどいたのだろうか/川本千栄『樹雨降る』
そんな小花を摘んでいた記憶が、かすかにある。まったく記憶にないことを、周囲の大人だった人たちから聞かされる。
はるかに遠くなって、懐かしむことすらできない……というところか。
だいたい、大人になったら、そんなものには見向きもしない。雑草わどんどん刈り取ってゆくほかはない。
のだが、立ち止まって、眺めていると面白い。
ずいぶん、いろんな種類の虫たちが、この小さな花に集まってくる。
わからないものは写真を撮って図鑑をあたり、それでもわからないものもある。
左上はミツバチ。たぶんセイヨウミツバチだろう。
右上はスズメバチ。さすがに恐ろしいので、刺激しないように撮影する。ご尊顔を正面から確認することができなかったが、おそらくオオスズメバチ。いや、都会にいるのはコガタスズメバチか(これもけっこう大きい)。
左下はわからない。セグロアシナガバチというものがいるらしいのだが、それにしても黒い。
右下はウリハムシか。名前は「ウリ」で、畑の害虫だが、花の蜜も好むのだとか。
ハチとは別の意味で嫌われ者だが、ハエ。
左はクロバエのなかまでオビキンバエか。
右はニクバエ。
ということで、ヤブカラシのまわりは、けっこうにぎやかだ。
この家にひとり残るのは嫌なのだひと夏をかけて繁るヤブカラシ/永田和宏『後の日々』
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