カラス、傾げる。
カラスがこちらを見ている。
首を傾げているように見えるのは、おおかたこちらの様子をうかがって、なにか餌でもよこすのか、逃げるべきか。そんなところだろう。
風のなかに何を見ている啼きもせず首をかしげてカラスが一羽/久々湊盈子『鬼龍子』
それにしても、嘴の形がこうなっているのか……ということを、あらためて観察する。
大きな嘴だと、なんとなく幅も広いような印象があるが、口もとは広くても先のほうはかなり細くなっている。
このへんが鴨などとは大きく違うところ。
鋭い嘴の先で、引きちぎったり、つまんだり、器用なことをするのだろう。
こちらの方も、いくらか首を傾げているが、
なにか興奮している。
怒っているようにも見える。
騒いでいるので、
なにしてんの?
と思って見上げてカメラを向けただけなのだが、
それが気に入らなくて怒っているのかもしれない。
騒ぐから目立つんだよ。
飛び立ちし鴉が残しゆく余韻土塀傾く街にたゆとう/古賀泰子『見知らぬ街』
どっか行くかと思ったら、ずっとこちらを威嚇しつづける。
いつまでも付きあっているわけにもいかないから、こちらが立ち去ったわけだが……
きみが勝ったわけではないからね。
コメントを残す